▲2006年12月末 要支援2の通知

年末のあわただしい時期
12月25日にそれはやってきた。
介護認定の通知である。
母はこの制度始まって以来、ずっと要介護1であった。
しかし今回は「要支援2」と判定された。
最初に判定されたときより
さらに身体の状態は悪化しているにも関わらずである。
しかもこの適用は来年の1月からになる。
官庁の休みがあるから・・・あと、2~3日しかない!
これはすぐに市役所へ行かねば!
翌26日、朝から市役所へ出かけた。
介護保険課の介護認定の相談窓口へである。
前に書いたAさんがやってきた。
一抹の不安を覚えながらも、
とにかく来庁の主旨を伝えた。
「母の場合、具体的に、どういう項目が介護が必要なしとなったのか教えてください」
私は具体的な回答を求めて、そのように言った。
しかしAさんは、一般的なパンフレットを見せて
介護保険システムの説明から始めようとしていたので、
「そのような説明は結構ですから、具体的に母の場合について聞きに来たのです」
それでもパンフレットで説明を続けようとするので、
「母の資料を持ってもこないで、どうして説明できるのですか!」
と言うと、Aさんはあわてて母の書類を探しに席を立った。
あっちの机こっちの棚と、さらに何人かに尋ねながら
5,6分もしたでしょうか、
やっと母の書類を見つけて(はぁ~)お話が始まりました。
まず、一次審査のコンピュータ診断では「要介護1相当」であった。
とすれば、医師の診断書なり認定調査員の調査票で
母が介護1には当たらないと判断されているわけだから
どういう項目で介護ではないと判断されたのかを聞くことにした。
要領の得ない説明を繰り返される中、
しつこく具体的な説明を求める私にAさんは逆切れしたのか
「認知症以外は介護にはなりません!」と言い放ち、
「では、認知症以外ではどんな状態でも介護にならないのか?」と詰め寄ると、
「余命半年とか宣告されている人だったら介護になります」と言い切った。
余命半年???それってホスピスのことで医療と違うの????
介護って医療とは違うでしょ????
後に彼女の上司から、
それはその方が、以後回復する兆しが無く悪化する状態のことで、
当然機能障害があることが前提です。
と説明を受け、納得したものであった。
しかしここでAさんの言った
「認知症以外では介護になりません」と言うのは
実はかなり真相に近かったのではないかと今では思っている。
この後、もっと話を進めたかったのだが、
このまま話がもつれ込んでしまえば、
間近に迫る要支援2での対応では
母は電動車いす(電動カート)のレンタルが打ち切られてしまうため、
その方向に話を切り替えていった。
もちろん要支援2でも電動カートが保険の対象として利用できることを知っているからである。
調査票でも特に強く主張していた
「歩行の危険性と、外出が不可能なこと」を再度述べ
なぜ電動カートの使用が認められないのかと聞いたところ、
Aさんから次のような質問が帰ってきた。
A「家の中で過ごしている時間と外で過ごしている時間とではどちらが多いですか?」
私「外では歩けませんから、当然家の中です」
A「家の中では車椅子ですか?」
私「家の中は車椅子で移動できるほど広くは無いですから、当然伝え歩きか杖です」
 「デイサービスやショートステイの施設では車椅子ですが」
A「この場合、家の中か外かで多くの時間を過ごしている方で、車椅子を使われていないんでしたら、日常の生活で車椅子は必要ないと判断されます」
私「えっ!・・・・それって、外では歩けなくてもですか?」
A「日常生活で車椅子が無くても歩けると言うことです」
私「外では歩けないから、家にいるほうが多いんですよ」
私「・・・・足が悪い老人で一日の多くを外で過ごしている人っています?」
A「・・・・無言・・・・」
私「家の中で車椅子で移動されている方ってどれくらいいます?使えるなら母も使っていますよ!」
  「家の中でも転倒することが多くて危険なんですが、車椅子は使えないんです」
  「ほんのわずか、伝え歩きができるって言うだけで、外を自由に歩きまわれるって、どうひねくれた考え方をすればそのようなことが言えるんです!」
それから、母が転倒することで内出血を起こし、それが大変危険であることを再度述べ、
電動カートを取り上げられてしまえば
精神的にも引き篭もり状態になってしまう、
引き篭もり状態なってしまえば
もう家でもほとんどベッド上での生活が続くため
さらに歩けなくなってしまい、
いままで努力して足の筋力の衰えを防いできたことも
一瞬にして水の泡と化してしまう。
それでもAさんは、かたくなに「そういうシステムになっているから」と言い切っていた。
そのころには、地域包括支援センターの男性職員(Bさん)、
それから後に、彼らの上司の女性職員(Cさん)も同席し始め
(これは私がAさんの態度に怒り、声が大きくなっていたためだろう)
再度事情を説明し直すことになってしまっていたのだが、
私もこの時点では
あまりにもAさんの言う内容が相手が人間であると言うことを考えていないような言い方で
杓子定規な変な理屈で実情では考えられないような条件を提示して
それに合わないからだめだとか
そういう態度に怒りが高ぶってしまっていた。
このときに私は重要な点を相手に指摘していた。
「あなた(Aさん)は、どちらの側に立って話をしているのですか?」
「あなたは、まるで国の役人の立場になってわたしを説き伏せようとしていますね」
「私のような市民は、いきなり国を相手に話をする手段を持ちませんし、しても意味が無いでしょう」
「介護のことで直接話をする、相談するのは市役所のこの課がまず最初です」
「だから市役所も相談窓口をここに置いているんでしょ」
「市の職員が介護者や非介護者の言葉を聴かずに、クレーマーのような扱いをして、追い返そうとするとは何と言う態度なんですか!」
「福祉課って何の仕事をするところか知っていますか!」
「市民の立場に立って考えればそんなことは言えないはずです」
「国の定めた制度が実情に合わないことなんてざらにあります」
「それを市民レベルの目線でも見て、その矛盾点を少しでもなくして、市民にとって少しでもより良い方向へと、動こうとするのが福祉行政ではないのですか」
「その市民の窓口であるあなたが、窓口に大きな壁を作って、市民を寄せ付けないようにすることが仕事なんですか」
「窓口へ相談に来た市民を追い返すのがあなたの役目なんですか」
「新聞TVで何度も大きく報道されてきている介護法改正で自殺や心中事件を見てあなたはなんとも思わないのですか」
「あなたは私の母に、外へ出かけたりしないで家の中で早く死ねと言っているのに等しいことをしているんですよ」
そのようなことをどのくらい言い続けたのでしょうかね、
気がついてみると私一人だけがしゃべっていて、
その課全体がシーンとしていた。
とりあえず、明日に地域包括支援センターのケアマネージャー(市職員)が家に来て
市との要支援2の契約をしに来てもらうことにして
そうしないと一切のサービスを受けられなくなってしまうからで
やむなく要支援2の決定を受けざるを得ないような仕組みになっている。
そして電動カートの使用についても再度話し合うことになった。
ついでに書いておくが、翌27日に
1月初めに、担当者会議(市ケアマネージャー(Bさん)、デイサービス事業所、ショートステイ事業所、電動カートレンタル事業者、そして以前からお世話になっている民間のケアマネージャー)を我が家で開くこととし、
そこで電動カートの利用の可否と介護申請のやり直しなどに付いて話し合うことにすると言う取り決めを行った。

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